デリケートゾーンの悩みの上位に入る、デリケートゾーンのニオイやかゆみ。生活習慣の影響や生理時期にもホルモンバランスの影響で、デリケートゾーンのニオイも変化します。生理の時期は経血が酸化することでニオイが気になり、ナプキンかぶれをおこしたり、生理期間の前後でも不快感をうったえる女性も多くいます。膣内の菌は、人間の目では当然見ることができないので普段あまり考える機会がないと思いますが、私たちの自浄作用を保ってくれている膣内環境のことを知り、正しいケアにつながればと思います。
まず、デリケートゾーンの正しいケアの前に、デリケートゾーンのよくある悩みやトラブルについて。例えばこんな声があります。
・おりものの量が増えた
・おりもののニオイが気になる
・かぶれて痒みがある
・カンジダを繰り返す
普段不快なことがあっても特に対処することなく我慢をしてきた女性も多くいますし、カンジダのような強い痒みを伴う繰り返す症状に悩む女性もいます。当たり前になっているくらい付き合いの長い不快感も、正しい知識で課題が解決する可能性もあります。
肌とデリケートゾーンのph値の違い
顔や肌は弱酸性とCMでも聞いたことがある方も多いと思いますが、肌の表面はph4.5~6.0。
デリケートゾーンのph値は3.8-4.5と酸性によった状態です。
顔には顔用の洗顔を使われると思いますが、それぞれの部位に合わせた成分の設計になっていて、デリケートゾーンには専用のケアが婦人科でも勧められることも増えてきたと思います。
普通のボディソープでデリケートゾーンの洗浄を行うと、うるおいを奪いすぎたり、女性の中にはデリケートゾーンが沁みるという声もよく伺います。
phに合った洗浄を行うことで、デリケートゾーンの潤いも保ちながら、デリケートゾーンのphを考慮して清潔に保つことができるのです。
デリケートゾーンは、菌が増えやすい環境
デリケートゾーンは、常に蒸れた状態で、排泄のたびにトイレットペーパーの摩擦で刺激を受ける場所です。皮膚が粘膜に近く薄い部分もあり、角質層が薄く、保水力も低く、さらに下着やタイツの重ね着、生理用ショーツは防水加工がされているため、まさにラップをしたような状態。さらに常に汗やおりものによって常に蒸れている状態なので、細菌や真菌(カビ)が増えるためにとてもいい環境とも言えます。
細菌を全て洗い流せばいいのではないか?ということを言われる方もいますが、デリケートゾーンには常にバランスを保った状態で菌が存在しています。
お湯だけの流し洗いケアが今は一番多数派。
洗浄しすぎる女性は意外に多く、お湯の流し洗いを婦人科で勧められることもあります。しかし、恥垢(ちこう)と言われる白い垢の汚れは、デリケートゾーンの細かいシワの凸凹にたまっており、これは尿や汗、おりもの、経血などの分泌物によって白いカッテージチーズのようになり、お湯で流すときは指の腹でしっかり落とさないと落ちません。この分泌物のかたまりがそのまま落としきれず、雑菌が増殖してニオイの元になったり、かゆみや炎症を起こすこともあり、デリケートゾーンを摩擦で刺激しすぎず、マッサージしながら取り除くことがおすすめです。
デリケートゾーンの菌を育てる
デリケートゾーンケアをしているのに、トラブルが起きるのはなぜ?
「デリケートゾーンの常在菌」に着目してみましょう。女性の膣内には、6種類の常在菌が活動しています。その中の一つとして、乳酸桿菌(デーデルライン桿菌)と言われる乳酸菌が存在し、腟上皮細胞内のグリコーゲンを使って乳酸をつくり出しています。
健康な女性のおりものは、この乳酸の酸性によって保たれていて、膣内に外から細菌が入って繁殖することを防いでいます。
デリケートゾーンは自浄作用がもともと備わっていて、膣を清浄に保っており、この作用は、膣上皮のグリコーゲンの豊富さと関係があり、このグリコーゲンは卵胞ホルモンと比例しています。
自浄作用が弱くなる時は?
・卵胞ホルモンが減少
・摂取している抗生物質の影響で、乳酸桿菌が減少
・膣内にタンポンなどの異物を入れた時
・必要以上にビデで洗浄した時
・頚管分泌物が増加して膣の酸性度が弱くなるとき
・がん、糖尿病などの疾患にかかったとき
・出産などで会陰の裂傷
膣の酸性度が減少することで、自浄作用が低下し、膣内に細菌と白血球の増加などでおりものの状態が変わります。
デリケートゾーンの健康状態を良くするためには、はぐくむ意識が大切
デリケートゾーンをいい状態で保つためには、生活習慣の改善はとても大切ですが、忙しい中でなかなか急に変えられることばかりではないと思います。まずは日々のケア習慣が簡単に取り入れられます。普段からお風呂で洗いすぎないこと、必要以上にビデやシャワーを使うことで、過剰に洗いながすことはおすすめできません。誤ってデリケートゾーンに付着した雑菌も本来であれば自浄作用で問題なく繁殖を防ぐことができます。
常在菌の乳酸菌が減少すると、結果として雑菌が繁殖します。清潔にしようとする意識の高い人が、時としてはデリケートゾーンの皮脂欠乏により、乾燥や皮膚炎を起こしたりすることになります。
カンジダ菌も対策できる。自然界に存在する菌
カンジダ菌は、膣の環境が悪くなると弱毒のカンジダ菌が増殖し、外陰部や膣にカンジダ菌が繁殖します。これも10人に3人は生涯で発症すると言われています。繰り返す人も多く、ストレスを感じる厄介な課題になります。激しい痒みや違和感があり、ポロポロとしたおりものが出現するのですぐにカンジダ感染だとわかります。
湿気た環境や、通気性の悪い下着、疲れや寝不足、ストレスなどによって体力がや抵抗力が低下したときには誰でも起こり得るものです。この場合は早急に病院に受診されることをおすすめしますが、病院では抗真菌薬の膣錠や軟膏を使用しての治療になり、処方された薬を使用して完治するまではもちろん一定の時間が必要です。
カンジダの悩みを抱える女性は幅広い年齢で多く、クローズのコミュニティで私も実際の声を目にする場面がありますが、カンジダ膣炎の特効薬だけでなく普段の正しいケアや知識が広まっていないことを懸念しています。菌との正しい付き合い方、日常生活を気を付けることでこういった悩みも軽減できます。
デリケートゾーンケアのやり方
デリケートゾーンのケアは、まずはみなさんデリケートゾーンの専用ソープを取り入れることから始められ、お風呂上がりの保湿ケアや膣マッサージ、さまざまなやり方を取り入れられている方が多くいます。先ほど洗い流しすぎないことがポイントであるとお伝えしたように、デリケートゾーンにはデリケートゾーンの必要なケアがあります。普段時にケアを意識する時期としては、月経時期のニオイが気になる女性が約30%、また毎日気になる方も約25%。
悩みの上位になるニオイのケアのために、みなさんデリケートゾーンのケアを取り入れるきっかけになっているそうですが、湯洗いがメインのユーザーが約65%ほどです。実際に日常の習慣として取り入れることには時間を有している方もいらっしゃり、こういった知識を前提として持っておくことも大切だと思っています。
スキンケアもそうですが、人によって朝夜様々なルーティンを持たれているかと思います。一番大切なのは続けられるかどうか、日常の動線に取り入れられるかどうかがキーポイントです。
お風呂場での洗浄ケアは「割と続けられる」という方は多いのですが、お風呂上がりの保湿ケアは顔のケアもありますし、お子様と慌ただしくお風呂を過ごされる方はなかなか取り入れづらいという女性もいます。
まずはご自身の生活に合った、最適なケア方法をぜひ模索してみてください。
デリケートゾーンケアの選び方
✔︎ デリケートゾーンのphに合わせた設計か
✔︎ 肌に優しくて低刺激か
✔︎ 真菌に配慮した成分が含まれているか
✔︎ 毎日続けられるような香りの相性や価格帯
✔︎ 率直に洗いやすいか、続けられるか
まずは日常でできるケアを模索してみて、取り入れやすいものから生活に入れていくことでデリケートゾーンの自分の状態をチェックする機会になると嬉しいです。